インフラエンジニアで客先常駐をしない構築の仕事ってあるんですか?
経験者から話を聞いてみたい!
こんなお悩みを現役インフラエンジニアが解決します。
☑本記事の内容
・そもそもインフラエンジニアの設計構築とは何をやるのか?
・社内請負構築とは何か?
・社内請負構築に求められるスキルとは?
☑本記事の信頼性
・運用監視~設計構築まで一通り経験有り
・常駐タイプ~請負タイプまでの構築業務の経験有り
こんな感じで、運用~構築の現場まで一通り経験してきました。
僕の経験上ですが、SIerの構築案件の現場は2パターンあります。
SIerの構築案件の現場
・客先に常駐して、運用構築をするパターン(客先常駐)
※僕は準委任契約を経験
・社内を拠点に与えられた請負案件をこなしていくパターン(社内請負構築)
このように、「客先常駐」と「社内請負構築」に分かれます。
今回は、客先常駐をしない方の「社内請負構築」の方について説明したいと思います。
(今回は、オンプレミスの社内請負構築の話になります。)
では早速、本題に行きたいと思います!
注意ポイント
僕自身がサーバー系のエンジニアのため、記事の内容がサーバー寄りになっています。
ネットワーク系のエンジニアの方は参考程度に見て頂ければ幸いです。
そもそもインフラエンジニアの設計構築とは何をやるのか?
インフラエンジニアの設計構築の仕事は、以下のような流れになります。
仕事内容
①機器の構成&設定を考える
②データセンターへ機器搬入・設置・ケーブリング
※別のベンダーが対応する場合もある
③機器を構築(サーバーやネットワーク機器等)
④動作試験
⑤ユーザー(開発側)へ引き渡し
このように、機器の構成を考えるところ~動作試験後にユーザーへ引き渡すところまでが、インフラエンジニアの設計構築の仕事になります。
上記の仕事内容を全て対応するわけではなく、機器搬入~ケーブリング迄を他ベンダーが対応する場合もあります。
細かい話をすると、長くなるので今回は割愛します。
(別の機会に記事にしたいと思います。)
機器搬入・搭載・ケーブリングを実際にやったことがありますが、なかなかハードです。
特にケーブリングは初心者にとって、鬼のように難しいです。
社内請負構築とは何か?
では、社内請負構築について話をしていきたいと思います。
上位会社(大手SIer等)から案件を請け負う
大手SIerやメーカー系SIer等の上位会社から請け負った設計構築案件をこなす仕事です。
図にするとこのようになります。
上記の図の例だと、僕は「中堅SIer」の位置にいます。
実際に僕が経験したオンプレミスの社内請負構築業務の流れは、こちらになります。
業務の流れ(例)
①上位会社から仕事を受領/請けるか請けないか決める
→請ける場合、マネージャーが各メンバーにそれぞれ仕事を振る
(メンバーが案件ごとに2~4人でチームを組む)
②上位会社のPMと協力し、エンドユーザーと複数回サーベイを行う
→機器構築のための設定を詰めていく(事前調査で現地へ赴く場合もある)
※サーベイ:事前調査のための会議(設計会議)
③現地へ行って機器構築&試験を実施
→機器搬入~ケーブリングは、契約次第では対応することもある
④エンドユーザーへの引き渡し
→エンドユーザーへ引き渡し説明
⑤成果物作成&提出
という感じです。
このように、それぞれの案件に上位会社の方が1名PM(プロジェクトマネージャー)として入ります。
僕がいたチームは、詳細設計からのスタートが多かったです。
※詳細設計とは、機器へ入れる設定を洗い出す作業になります。
基本設計は、上位会社が実施済みの状態で案件が来ることが多かったので、担当する機会はなかったです。
このような形で上位会社からの請負案件をこなしていく仕事です。
「設計構築して引き渡して終わり」というタイプの仕事です。
僕がいたチームは短期案件が多く、構築期間が1~2週間以内というものがザラでした。
拠点は社内(常駐は無し)
拠点は基本的に自社のオフィスになります。案件ごとに現場に赴く形の仕事になります。
社内と社外でそれぞれやっていることとしては、こちらになります。
(こちらで紹介している内容は、あくまでもオンプレミスの社内請負構築の話になります。)
ポイント
社内
・資料作成(作業手順書やパラメーターシート、見積書等)
・検証環境にて検証
・社内打ち合わせ(案件など)
社外
・エンドユーザー先でのサーベイ(設計を決めるための会議)
・上位会社との打ち合わせ
・現地作業
以下のような仕事のインフラエンジニア版です。
- カスタマーエンジニア
- フィールドエンジニア
このように、基本的にお客様先に赴いて、アウェイの状態で働く仕事になります。
客先常駐とは違い、お客様との信頼関係が気づけていないところからスタートするため、発言しづらい等の制約があります。
そのため、なかなかシビアな仕事になります。
カスタマーエンジニアやフィールドエンジニアについては、こちらの記事を確認下さい。
このように、社外に行くことはありますが、「客先常駐」とは全く違う働き方になります。
あくまでも拠点は自社のオフィスです。
社内請負構築に求められるスキルとは?
以前、こちらのツイートをしました。
オンプレミスの請負構築に求められる能力5選
☑寒い場所に居続けられる体力
☑人付き合い能力
☑終業後や休日に仕事をする熱い気持ち
☑長距離通勤に耐える力
☑やったことがない作業をスムーズにできる能力マシンルーム内で苦手な人と二人きりでも、うまく立ち回れる能力が必要です。
— さっとん@SaaSを扱う (@satton6987) October 29, 2020
・寒い場所に居続けられる体力
・人付き合い能力
・終業後や休日に仕事をする熱い気持ち
・長距離通勤に耐える力
・やったことがない作業をスムーズにできる能力
こちらは、僕が実際に業務を経験してみて思った必要な能力になります。
では、早速掘り下げていきたいと思います。
寒い場所に居続けられる体力
寒い場所に居続けられる体力がないと、正直しんどいと思います。
なぜなら、現地作業の作業場所は大体寒いからです。
(稀に、寒くない場所もあります。)
作業場所は大体、このような場所になります。
作業場所
・各地のデータセンターのマシンルーム
・お客様オフィス内のマシンルーム
マシンルームはもちろん、サーバーやNWスイッチ等の機器にとって優しい環境になっています。
ただ、人間にとっては寒すぎて劣悪な仕事場という印象です。
このように、現地作業は寒くてハードな場所が多いです。
夏(8月ぐらい)に某お客様オフィス内のマシンルームで作業をしていた時がありました。
そこのマシンルームが真冬並みに寒かった記憶があります。
(夏だけど上着必須)
人付き合い能力
人付き合い能力は社内請負構築という仕事において、最も必須だと思っています。
理由は、
- 上位会社の方(PMさん等)やメンバーとランチに行く機会が多い
- 苦手な人と二人きりでマシンルームで作業をしなければならない場合がある
からです。
正直、これに関しては得意不得意が大きく分かれるところだと思います。
僕の場合、人付き合いが苦手で辛いと思うことが多かったです。
一人でいることが好きなタイプなので、ランチまで付き合いたくないというのが実情です。
そのため、よく弁当やカップラーメンを持っていくことが多かったです。
そのため、社内請負構築は人付き合いが苦手な人にはおすすめしづらい仕事です。
好きでもない人のどうでもいい話を聞くのは苦痛でしたね。
逆にこれができる人であれば、向いている仕事です!
終業後や休日に仕事をする熱い気持ち
社内請負構築には、終業後や休日に仕事をしなければならない場合があります。
なぜなら、他の案件と同時で進めなければならない場合があるからです。
例えば、このようなことを終業後や休日にやっている方が多いです。
終業後や休日にする仕事(例)
・作業手順書作成
・パラメーターシート作成(詳細設計書)
・使用するメディアのウイルススキャン
・案件準備
・テクニカルサポートとのやり取り(電話orメール)
僕も実際に現地作業が終わって帰宅した際に、案件準備等をやっていた時がありました。
このように、終業後や休日でも仕事ができるという熱い気持ちが必要です。
(こちらの話は、現場やチーム次第というところもあると思います。)
現地作業終了後に帰宅してから、別の案件の作業準備をするのはしんどかったですね~
作業手順書を作成したり、使用するメディアのウイルススキャン等、実際にやっていました。
長距離通勤に耐える力
長距離通勤に耐え抜く力はガチで必要です。
(オンプレミスの請負構築の場合)
なぜなら、作業場所が辺鄙な場所にあることが多いからです。
例えば、このような場所にあります。
作業場所
・田舎
・駅から車で20分ぐらいの場所
・自宅から2時間以上かかる場所
(案件によっては出張も有り)
「利便性が良くて駅近」という場所は少ないです。
どちらかというと、アクセスが不便な場所が多いです。
(データを守るという目的があるから、仕方がないのですが。。。)
このように、辺鄙な場所にデータセンター等の作業場所が多いです。
一度、自宅から特急を使っても2時間以上かかる場所に毎日通勤していました。
朝早くて辛かった記憶があります。今では良い思い出です(笑)
やったことがない作業をスムーズにできる能力
経験したことがない作業をスムーズにできる能力も必要です。
なぜなら、「工数」や「納期」の関係で急かされることが多いからです。
OS作業(WindowsやLinux等)や仮想化基盤の作業(vSphere環境等)は、社内で検証できるのでスムーズに作業できました。
しかし、このような作業は社内だと練習ができなかったです。
練習できなかった作業
・マシンの搭載~ケーブリング
・現場で使用する実機を触った検証(ストレージ等)
僕の場合、設定作業は全然問題ないです。(急かされるときついですが。。。)
しかし、ケーブリング等の物理的な作業は慣れない状態で常に急かされていたので、本当に辛かった記憶があります。
運用畑から来た僕は作業を慎重にやる癖がついていたので、
やったことがない作業をスムーズに対応することができなかったです。
という感じで、やったことがない作業をスムーズにできる能力が社内請負構築という仕事に必要だと思いました。
運用監視で慎重に作業をすることに慣れている人は、なかなか苦労すると思います。
ミスったら大惨事になることを知り尽くしていますからね(笑)
まとめ : 技術力は着く仕事だが、向き不向きがある。
今回は、「SIerなのに常駐しない仕事」である社内請負構築について紹介しました。
社内請負構築は現地作業が多くて、正直辛い仕事です。
しかし、以下のようなスキルが身に付きます。
・技術力
・プレゼンテーション能力
・調整力
・お客様への立ち回り
今回紹介した以下の能力を持ち合わせている人は、チャレンジしてみては如何でしょうか?
ポイント
・寒い場所に居続けられる体力
・人付き合い能力
・終業後や休日に仕事をする熱い気持ち
・長距離通勤に耐える力
・やったことがない作業をスムーズにできる能力
検討を祈ります!!
現場からは、以上です!
宜しければ、TwitterやYouTubeもやっているので是非ご覧頂ければ幸いです。
主にインフラ技術や運用監視時代の体験談について発信しております。